高齢者の人口割合は増加傾向にあります。
2023年で総人口における高齢者の人口割合は29.1%となっております。その中で75歳以上の人口が2889万人との統計が出ております。
[統計トピックス No.138統計からみた我が国の高齢者 https://www.stat.go.jp/data/topics/pdf/topics138.pdf を基に作成]
高齢者の単身世帯は増加しており、居住用物件のニーズも増加しています。しかし、民間賃貸住宅においては入居中の単身高齢者が死亡した際の問題を恐れて、高齢者の申込を拒否する事例があります。
問題とは、入居者に相続人がいない、または、所在が明らかでない場合は、賃貸借契約の解除や室内の残置物の処理ができない。
※賃借人が死亡しても、賃貸借契約は当然に終了せず、賃借人としての地位及び室内の動産などは相続財産になります。なので勝手に賃借人の動産を処分することはできません。また、賃貸借契約は賃借人の死亡により、自動的に終了しません。
相続人がいれば、相続人と賃貸借契約を解除してもらい、残置物を引き取ってもらうなどしてもらいます。
しかし、相続人がいない単身高齢者の場合は、相続財産管理人を選任し、裁判所の許可を得たうえで、賃貸借契約の解除、残置物の処分をすることになります。または、死亡した賃借人の賃料不払い等を解除事由に契約を解除し、建物明渡の裁判を提起しつつ、裁判で賃借人の特別代理人の選任を申し立てるといった方法があります。
※相続人の調査(戸籍の収集)、相続財産管理人の選任申立には、利害関係を証明する資料、費用や予納金が必要です。
このような手間や費用、時間がかかるなら、高齢者に部屋を貸すことを渋るでしょう。
そこで、あらかじめ死亡した場合の契約関係及び残置物の処理について、委任契約、準委任契約を交わす方法があります。
①賃借人が死亡した場合の賃貸借契約を終了するための代理権を授与するための委任契約
②賃貸借契約終了後に、残置物を処理することを委託する準委任契約
推定相続人がいない場合、誰と契約を交わすかについては、居住支援法人や社会福祉法人などの第三者が想定されます。
※大家さんや管理会社は受任者として契約しても、無効となる場合があるので注意が必要です。
これらの契約により、賃貸オーナーの不安は少しは払拭できるのではないかと思います。
※国土交通省及び法務省から、「残置物の処理等に関するモデル契約条項」が示されております。
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